年末も年末、もう紅白も始まるような時間なので、丁寧に前置きとかやってられません。今年は大変だった、とかそういうのも無いです。今年中にどうしてもしておきたい、NiziUと虹プロの話をしようと思います。NiziUが誕生した2020年のうちに、僕がNiziUに感じたことと感じていることを、思いつくまま書くだけの、本当にそれだけの記事を更新します。

 

 確かあれはHulu公式アカウントだったと思うけれど、Nizi Project #1-1が世に放たれたあの日、ありがたいことにTwitterのライブ機能での放送がリアルタイムで行われていた。僕が普段から使っているTwitterアカウントは、いわゆるONCEと呼ばれる人々をそれなりの人数フォローしているわけで、虹プロやNiziUがこうなる前から関心を寄せている人たちがたくさんいた。だから、タイムラインにはそのライブツイートが自動的に流れてきたし、僕もある意味興味を持たされて、第1話を見ることとなった。

 これは何度か言っていることだけれど、僕はオーディション番組に対して、多少の苦手意識のようなものを持ち合わせている。参加者は本当に人生をかけているのに、それを何かただの興味本位で覗くスタンスであったり、参加者が流している心の底からの涙を、まるでドラマの演出かのように美化して受け取ったりするのが、どうにも残酷に思える瞬間があるからだ。また、どうしても発生する脱落者の存在、つまりはバッドエンドを迎えてしまう存在が耐えがたく(これはいい人ぶっているとかではなく、単純にコンテンツとして見たときの後味の悪さの問題だ)、このようなオーディション番組を見て自分が抱く感情に対する予測から、それなら最初から見ないほうがいいか、と思うことが多い。

 ただ、当時、そして今もいちばん好きなアイドルグループであるTWICEが出演する、またその楽曲がパフォーマンスされることなんかを理由に、他の似たようなコンテンツよりも断然気になっていたという部分はあったので、ふと軽い気持ちで踏み込んだ。僕が虹プロを見始めた経緯としては、だいたいこんなところである。

 

 さて、地域予選のニナの話から始めます(メンバーや参加者の名前は敬称略で行かせてください、時間がないんです)。僕は、このパフォーマンスを目の当たりにしたことで、今ここでこんな文章を書くことになったと思っている。彼女がこのオーディションを通してアイドルとしてデビューしたとき、もしその過程を見ていなかったらきっと後悔する、と思わされた。それくらい強烈な "Brand New Day" だった。風の匂いが変わったのである。はじまりの予感を信じようと心に決めたのだ。

 当時のニナは、特に純粋だったと思う。彼女にはポケモンで言うところの(ポケモンで言うな)ビーストブーストみたいなものがあると僕は思っていて、パフォーマンスへの良い反応を感じるともう一段階スイッチが入り、パフォーマンスがさらに強化されるように見える。そういう意味で純粋と表現したのだけれど、予選ではその結果として、"What is Love?" がうまく行きすぎたのかもしれない。これは映像に載っていないというだけで憶測でしかないが、彼女のダンス審査における評価が低くなったのは、他の参加者と違ってJ.Y.Parkからの修正点の指摘が少なかったから、というような気がしないでもない。彼のアドバイスで参加者の技術が向上するのは虹プロ全体を見れば明らかで、逆に言えば、うまく行ったことでアドバイスが無ければ、場合によって不利になるということである。まあ、ダンス審査の順位が低かったからこそ、あのボーカル審査があるとも言えるし、別に良いとか悪いとかそういう話ではなく、ニナの地域予選にまつわるただの僕の感想のひとつである。

 ニナの "Brand New Days" が本当に素晴らしかったのと同じカテゴリーの話として、リオの地域予選のダンスがアドリブだった話は個人的にめちゃくちゃ好きだ。圧倒的な"得意"を持っている人、つまりステータスが尖っている人には、キャラクターとしてどうしても惹かれてしまうところがある。オールマイティなルパン三世ではなく、斬鉄剣一本で勝負している石川五ェ門だけに感じる特別なかっこよさがあるのだ。自慢の武器ひとつを磨いて乗り込んできた彼女たちの姿には、アイドルに感じる好きとはまた違った、漫画のキャラクターに対して感じる好きを抱かされた。

 ただ、オールマイティが好きではない、という話では無い。マコリマミイヒが他の参加者を完全に"わからせる"ダンス審査とボーカル審査は、見ていて爽快感すらある。ダンス審査のマコミイヒが、かわいさとかっこよさで両方向からダブルパンチかましてるの、非常にいい。リマの自作ラップも、東京合宿でやるにはあまりに高威力で気持ちがいい。彼女たちの間にある深い信頼関係を知っているからか、チームで周りを倒しているようにさえ見えるのだ。あとこれはTwitterでも言ったけれど、まず練習生組の戦士みたいな佇まいの会場入りが大好きだ。彼女たちはJYPでアイドルになるためにかけている時間も労力も他の参加者とは全く違うし、彼女たちにしかわからない何かを背負っていたのだと思う。その士気がパフォーマンスに乗って、画面越しとは比べ物にならないほど周りの参加者を戦慄させたのではないだろうか。東京合宿で彼女たちが登場するたびにどこかひりつく空気感が本当に好きだった。

 これはあまり言って来なかったが、その視点で考えるならば、練習生とは対照的な存在であったスズが、僕は地域予選からずっと気になっていた。彼女は間違いなく虹プロの主人公になりうる参加者で、まさにシンデレラストーリーを一歩、いや三歩くらいは歩み始めていたと思う。彼女の選択はもちろん尊重されるべきだし、たとえ韓国合宿に参加したとしてもデビューできていたかはわからないのだけれど。何か一つ飛び抜けた才能を持つ人や、周りとは一線を画した最強の能力を持つ人と同じくらい、突然現れた新星が主人公となる物語は、世界にたくさんあるのだ。実際の彼女の気持ちは、当然僕には全く想像できないもののはずだけれど、なんだかその選択をする気持ちも少しわかるような気にさせられて、気づいたら感情移入させられるような、そういう魅力がある人だったな、と時々思い出す。

 

 2500文字も書いたのに、なんでまだ地域予選の話をしてるんだろう。大事なことを言い忘れていたけれど、#1-1を見終わった僕は、それが自然の摂理であるかのようにニナを応援することになった。彼女がもしデビューしたらいわゆるニナ推しとしてオタクになるのかな、となんとなく未来を想像したのを覚えている。その後見たボーカル審査の "I'll be back" も、スター性審査の自作ラジオ番組も、ショーケースでITZYの衣装をバリバリに着こなしているのも本当に好きで、客観的に見れば韓国合宿にはもう当たり前に参加できるのに、名前を呼ばれてめちゃくちゃ泣くのも愛おしかった。ためらわずにこの名前呼んでくれ、って歌ってたじゃんね。というか、韓国合宿の "ICY" といい、ITZYニナの完全に出来上がっている感は魅力的すぎる。

 とか書いてたら、紅白のNiziUの出番が来たのでドキドキしながら見てきましたが、とにかくすごい嬉しかったな。9人揃ってパフォーマンスできて本当によかったし、有り難かった。最近はもう好きな数字が "9" になりそう。にしても去年の今頃は、家族と離ればなれの韓国で不安だっただろうにね......。くれぐれも無理はしないで、みんな幸せでいてほしい。

 ところで話変わりませんけど、最近の黒髪ストレートのアヤカ姫、やたらとかわいくないですか(時代劇などで「姫様」っていう呼称が存在するということは、「様」が敬称にあたるので「姫」単体は敬称ではないと思います、どうでもいいですが)?ということで、虹プロパート1はこれだけニナに全身全霊傾けているようでありながら、ずっとどこかで気を取られ続けたのがアヤカだった。まずとにかく顔がかわいい。地域予選でJ.Y.Parkが、不合格にしたらアヤカのことが家に帰っても頭から離れないと思う、と言っていたが、それはもう本当に全面的に同意したい。どうにもSTUCK IN MY HEADな魅力を僕も感じていたし、感じている。

 やっぱりスター性審査の話をしようと思うのだけれど、あのルックスで生春巻きサイドのパフォーマンスを持ってくるのがもうね、最高。本当なら小綺麗にバレエとかをやってくれればいいのだ(や、別にサナさんやミナさんへの他意はないが)。テニス講座は定期的に、かつ一生こすられ続けると思うけど、強く生きてほしい。ただ、あのパフォーマンスは本当にかわいく見える。しかも、誰がやってもかわいく見えるというわけではなくて、彼女だからこそかわいく見える。9 Nizi Storiesによると、スター性審査で何をやるかは事前に提出していたらしいので、OKを出した関係者にも感謝したい。

 それから、ショーケースで挨拶をミスるのも、馬鹿みたいにかわいい。歌やダンスの実力が周りより低かったということは、言ってみれば、地域予選と東京合宿をかわいさでブワっと薙ぎ払って韓国まで行ったようなものだ。でも実際、それくらいのキラキラを常に身に纏ってるのがアヤカである。14人目に呼ばれた後、泣きながらいつもみたいにゆっくりと口に出すコメントにはだいぶ心を打たれてしまい、応援する参加者が増えるぞ......と覚悟を決めざるを得なかった。

 

 時間も時間なので、韓国合宿の話に移らないといけない。"Nobody" とか "24 hours" とかはきっとすでに色々な人が色々なことを言っていると思うので割愛させていただくが、あれは視聴者の我々も含め、もしかしたらJ.Y.Parkも含め、改めて"わからせられた"パフォーマンスだったように思う。なんというか、ミイヒと同じレッスン室で練習させられたら、メンタル的にしんどそう。そういうレベルだ。ただまあ、これもまた「良すぎたパフォーマンス」という気がする。

 明言されている通り、韓国合宿では成長が重要な評価のポイントである。成長を改めて定義するならば、前回と今回を比較してどれだけ上手になったか、ということになると思うが、この「成長」と、その時点での「実力」が評価の中で混在しているがゆえの分かりにくさが、韓国合宿の順位発表にはあったと感じている。成長と実力の両方を評価の対象にする一例を、具体的な点数にして考えてみる。例えば、ミッション1での「実力」が80点で、ミッション2での「実力」が90点の場合、「成長」はその差の10点である。成長と実力の両方を考慮すると、ミッション2の点数は、「実力」90点+「成長」10点 = 100点というイメージで考えることができる。

 あの"Nobody"は、ミッション1の「実力」で99点を叩き出したようなものである。そうすると、次のノムノムで「実力」が90点だった場合、本当は周りに比べて十分上手なのに、90点+マイナス9点で81点、というような扱いになりかねないのだ。だからと言って、ミイヒがデビューできないわけはないし、最終結果に途中の順位などがどこまで影響を及ぼしたのかはよくわからないけれど、途中段階での成長の評価はこういう難しさがあると感じた。

 話を戻そう。ミッション1で好きなパフォーマンスを聞かれたら、悔しいけれど(?)やっぱりアヤカの "Precious Love" と答えるだろう。まず曲が好きなのだ。普段からよく聴いている曲で、そこにあのウインクを挟まれたらヘナヘナになってしまう。正直もうこの辺りからまともな判断力は失われてくる。そこにあるのは、もはや自分の中で振り回し慣れたアイドルに対する好きではなく、先ほど書いたようなストーリーの中の登場人物に対する好きのようであったり、画面越しではない周りの人間に対する好きに近かったり、応援する気持ちが何らかの力で変形して現れたような好きであったり、自分が経験したことのないような好きであったり、とにかく数多の好きが溶け合って、どれがどれだか区別もつかないような状態になり始めていた。ここまで来ると、好きであることしかわからなかった。ただ何か、強く感情を揺さぶられたように感じたのが "Precious Love" だったという話である。

 

 ミッション2で最も素晴らしかったパフォーマンスは "Swing Baby" だと思う。あれには文句のつけようがない。東京ドームで見せてほしい。全力で盛り上がれる自信があるので。ただそれでも、それでも、最も好きなのはSun Riseの3人によるパフォーマンスなのだ。虹プロの映像の中で、最もたくさん見たパフォーマンスでもある。これこそもうわけわからない好きの極致。あれは一体何なんだろう。気持ち悪くて申し訳ないけれど、あれを見ているときだけは笑顔が我慢できない。ミッション1の終わりに、ミイヒチームとして発表されたときの3人の表情からして本当に好き。リマミイヒはニコイチ、アヤカミイヒはルームメイトであり、ミイヒを介して強固に繋がれた3人が全員安心した顔つきをしているのを見ると、幸せな気持ちになれる。加えて、ミイヒを介して繋がっていたのに、ミイヒが半月ほど練習に参加できなかった結果として、アヤカリマの関係性が深まったのも中毒性を増す要因となっている。ついでに「みんこてぃーぬ」が誕生したのもよかった。ミッション1で13位だけを回避しようとしていたアヤカが、ミッション2では3人でトップ3を目指そうとミイヒに言われるのもね、深い。ここまで一呼吸で書きました、Sun Riseのオタクなので。

 

 ......ごめんなさい、時間がなくなりました。

 

 NiziUの9人が発表され、というかアヤカニナはデビューできると信じつつも、7人目まで呼ばれたときは心臓が痛くなったりして、まあそれから結局オーディション番組特有のハッピーエンドとバッドエンドの清濁を併せ呑み、虹プロは終わった。

 9人それぞれへの好きな気持ちは半年かけてじっくりと熟成されていたけれど、TWICEが好きなように、いきなりNiziUを好きになれたかというとそれは何か違う気がした。グループとして好きだという状態は、9人それぞれが好きだという気持ちとは全く違うと思う。その9人だから好き、その9人の関係性が好き、というのが、僕が思うところの「グループが好き」という状態なのだ。例えば、リオとミイヒの2人について考えてみると、この2人は同じグループでパフォーマンスをしたこともなければ、宿舎も違ったし、デビュー決定時点での関係性は比較的希薄である。好きになるにあたっては、そういったひとつひとつに対して、グループの強度のようなものを感じたいのである。

 まあ今や、他のメンバーになれるとしたら誰になりたい?という質問で、相手の名前を書くような関係性がこの2人には出来上がっていて、こうやってどんどんNiziUの9人がその9人である理由を強烈に知っていくことで、僕はNiziUをグループとして好きになっている途中にいる。更新されるインスタを見たり、番組の中でお互いに向ける視線を見たり、9人の力でパフォーマンスや作品を作り上げていくところを見たり。個人についてもグループについても、まだ本当に知りはじめたばかりで、自分の抱えている感情の種類すらよく分からないからとりあえず全力で応援をしている、みたいな状態で日々をNiziUとともに過ごしている。

 ただ、きっといつか、本当に確信を持って、NiziUというグループを間違いなく好きだと言える日が来るのだろう。

 

 いや、もうこんな文章を書いている時点で、好きなんだろうけどね。

 おしまい。