Wonderful Day

 星のよう舞い散る 雪に願いを

 雪の降る帰り道、またいつかこんな日が訪れてほしいと願った12/17を、手のひらで消え去る前に書き残そうと思う。

 副題は、アリーナの最前ブロックから仰ぐTWICEについて。

 

 

 誤魔化せないほどの動悸や眩暈を抱えながら迎えた『SET ME FREE』でまずいちばんに感じたのは、いわゆる「解像度の高さ」である。使い古された表現なのでもう少し自分なりの言葉で言い換えると、なんというか「TWICEの筆致」が見えたような感覚?だった。

 例えば、美術館でグッと顔を近づけて絵画を見てみると、それが写真などで見たことがある作品だったとしても、実際の色味や筆の通った跡、複雑な色の重なり具合など、事細かな「筆致」に改めて気づくことができる。それと同じで、本当に自分の目の前で歌って踊るTWICEは「TWICEが踊っている」という認識ではとどまらず、「ジヒョの腕が振り回されている」とか「サナの髪が弧を描いている」とか「ジョンヨンの衣装のリボンが揺れている」とか、TWICEのパフォーマンスを構成する大量の「筆致」の塊として流れ込んでくるようだった。

 かと言ってほんの一部だけをフォーカスして見ているというわけではなく、いつも通り全体を見ていたとしても、そういう細部の情報まで同時に摂取できるという、自分でも理解し難い状態だった。一秒あたりの刺激が多すぎて、本当にパニックになる。どこの病院でも観測されたことがない脳波とか全然出てると思う。全員。

 あとは、絶対音感の人が聞く音楽に近いのかもしれない。それぞれの音に音階がつくみたいに、パフォーマンスの各部分に追加の情報が送られてくるイメージ。とにかく、TWICEの全てが膨れ上がっていて、今ここに存在するんだ!というとんでもない実在感がそこにはあった。

 

 時が経つにつれて、公演全体の「立体感」が強まっていることにも気がついた。サブステージでのTWICEを後ろから見る形になるので、YouTubeに上がるような各種パフォーマンス映像ではよほど意識しなければ見えない部分が目の前で展開される。当然のことながら、パフォーマンスは中央前から見たときの最適解を目指して組まれていると思うのだけれど、その綺麗さを成り立たせるための後方、めちゃくちゃ良い。文字通りのビハインド、ステージの裏側。料理のレシピを知ったうえで食べると隠し味の良さを深く感じられるあの体験が、アイドルのステージにもあります。

 というか、公演に参加しさえすればほとんどの席で普段の映像とは違う角度からTWICEを見ることになるので、それぞれの場所で違う気づきがあるんだろうな。一応自分の座席からの気づきを言っておきたいんですが、"MOONLIGHT SUNRISE"で向かい合ったサモが笑顔になるやつ、これまで意識できていなかったのでこっそりやらないで!(この動画の1:48です)

 加えて、公演が形作られている現場に近いことも立体感に寄与していたように思う。公演終わりにもツイートしたけれど、一瞬の隙を見てイヤモニの調子をスタッフにジェスチャーで伝えるTWICEをはじめ、目の前の通路を縦横無尽に動くモニター用のカメラとか、立ち位置を間違えたサナにこっちだよって指で教えるジヒョとか、決して歌って踊るだけで完結しているわけではないのだということを強くわからされた。そんな風にいつもより多くのパーツに目を通すと、どれだけ経験を積んで、どれだけ準備をしたら、我々の視界に映るあれが出来上がるんだろうかと気が遠くなるのを感じた。巨大な精密機械みたいだと思った。

 

 

 共感されないかもしれないが、公演中、どこか地に足がつかなくなって、ワンスの掛け声やステージの音量から自分の意識だけがふわりと切り離されるような、良くも悪くも夢の中にいるみたいな瞬間がやってくることがある。同じ空間で起こっている出来事が現実味を失い、いつも通り画面の向こう側を覗いているかのように感じさせられる瞬間だ。

 ただ、この名古屋公演にそんな時間はなくて、TWICEのあまりの存在感と重量感で、何かを考えられる隙間がないくらい、心がずっとステージに繋ぎ止められていた。夢のような時間でありながら、これが現実でなければ何を信じられるのかという距離で全ての出来事が始まり、続き、そして終わっていった。

 それほどまでの現実感を伴いながら、サブステージに立つ9人を照らすスポットライトは、まるで神聖な後光のように見えた。強烈な解像度と立体感が「『現実的にはあり得ないようなレベルに達しているTWICE』という現実」を突きつけてきたのだ。(この文章伝わる?)

 大盤振る舞いのファンサも、アンコールステージのわちゃわちゃ感も、イムナヨンさんの最後のMCも、これでもかというほど彼女たちの人間味と思いやりを受け取らせてくれるし、そうやっていつも近くにいてくれるTWICEのことが好きだ。ただその一方で、ビジュアルもパフォーマンスもどう考えたって人間離れしていて、目の前で躍動する一挙手一投足に感動を覚えるたびに、彼女たちは別次元の存在だということを強く認識させられた。

 物理的には手が届くのではないかというほどの距離で、絶対に手が届かない場所にTWICEは立っているのだと知った。TWICEは本当にすごい。これだけ分かってもらえれば良いです。

 

 

 結局、書き上がるまでに一週間が経ってしまった。名古屋から帰ってきた当日夜の段階で内容はまとまっていたし、なんなら半分以上は完成していたものの、時間と心の余裕が足りない平日に押し流されていた。まあその忙しさもTWICEの皆さんほどではないけれど。

 そんな日常も、0時に飛び込むかもしれない新着情報のおかげで明日に期待が持てるし、最高品質のTTTとVLOGのために来週を待ち望めるし、カムバや公演が決まれば来年だろうと生きることに希望を感じられるというものである。すぐそこにTWICEの愛と音楽がある世界を、これからも暮らしていきたいと思う。

 

 きっと僕が願いを託すべきは、雪ではなくてTWICEなのだろう。また会わせてください!

 

 世界に優しさと 涙癒すメロディを